抄録
室内環境におけるハウスダスト中の準揮発性有機化合物(SVOC)について, 有害性の観点から, その化学物質種や濃度に関して, 近年様々な調査が行われている。発生源としては, 製品に使用されている可塑剤や難燃剤に由来するものと考えられている。SVOCは蒸気圧が低く, 吸着性を有しているため, 空間中ではガス態だけではなく, 浮遊粒子やハウスダストに吸着した状態で存在している。そこで本研究では, 各態間の分配平衡を考慮した動態モデルを用いて, ハウスダスト中のSVOCの濃度推算を行った。また, オクタノール/空気分配係数(Koa)に着目し, 推算値と実測値の比較を行い, 推算精度やモデルの限界について評価した。可塑剤と臭素系難燃剤については, 各モデルの中央値でFactor1.78-13.1の安全側の推算値が得られ, 回帰直線の傾きも0.838-1.28と1に近似であった。マクロ的な視点から見た場合, LogKoaが10程度以上の物質については, 分配動態モデルで実用的に説明できる。一方, LogKoaが10程度以下の物質の推算値については, 2オーダー程度の危険側評価となり, 他の移行経路の影響やKoaの補正の必要性が示された。