抄録
エポキシ樹脂の難燃剤としてリン酸エステル化合物が非ハロゲン系難燃剤として使用されている。要求される難燃性を発現するためには,多量の添加が必要であるが,イミダゾール触媒系で硬化阻害が起こることが問題視されている。本研究では,フェニルグリシジルエーテルをモデル化合物として用い,エポキシ化合物/イミダゾール/リン酸エステル系の加熱反応物を1H-NMR および GC-MASS により解析して,硬化阻害機構の解明を行った。その結果,まずリン酸エステルが系中に微量存在する水酸基により分解し,生じた遊離水酸基がエポキシ基と反応することによって硬化阻害が起こると推測されることを見出した。