ネットワークポリマー
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30 巻, 6 号
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報文
  • 石田 雄一, 小笠原 俊夫, 横田 力男
    2009 年30 巻6 号 p. 296-303
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    末端に多数のアミノ基を有する多分岐芳香族ポリアミドおよび第1世代芳香族ポリアミドデンドロンをそれぞれ合成,その末端基を熱硬化性基である4-フェニルエチニル無水フタル酸および無水フタル酸で修飾し,得られた生成物の溶解性や耐熱性などを調べた。AB2型モノマーである3,5-ジアミノ安息香酸に成長封止剤となるm-フェニレンジアミンを任意の割合で加えて共重合することで,生成する多分岐ポリアミドの分子量をある程度制御することができた。得られた多分岐ポリマーは末端イミド化後も非プロトン性極性溶媒に可溶であった。370℃ 1時間硬化後のガラス転移温度は 400℃までのDSC測定では検出されなかった。熱分解温度は末端基の種類および数に大きく影響され,末端がアミド基よりもイミド基が,また架橋性基が多い方が高い熱分解温度を示した。さらに,フェニルエチニル基を有する熱硬化性ポリイミド“TriA-PI”に第1世代ポリアミドデンドロンをブレンドし,その成形性,耐熱性,機械的特性を評価した。ポリアミドデンドロンをブレンドすることで溶融粘度の低下,ガラス転移温度の向上が見られたが,硬化物の破断伸びは減少する傾向が見られた。
  • 須藤 篤, 木村 美華, 劉 向東, 遠藤 剛
    2009 年30 巻6 号 p. 304-311
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    種々のアミンとイソシアナートから一連の尿素誘導体を合成し,これをエポキシ-ジシアンジアミド硬化系に添加した際の促進効果とそれに対する置換基の影響を詳細に検討した。その結果,イソシアナートに由来する部位は促進効果にほとんど影響がなく,アミンに由来する部位のかさ高さが低いほど促進効果が高いことが明らかになった。このことから,硬化系中においてまず尿素誘導体が熱解離することでアミンが生成し,その立体的なかさ高さが低い場合に速やかにエポキシと反応することで大きな促進効果をもたらすことが示唆された。特に環状アミンから合成した尿素誘導体は顕著な促進効果を示し,そのコンパクトな形状が有利に働くことが明らかになった。
  • 門多 丈治, 長谷川 喜一
    2009 年30 巻6 号 p. 312-316
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂の難燃剤としてリン酸エステル化合物が非ハロゲン系難燃剤として使用されている。要求される難燃性を発現するためには,多量の添加が必要であるが,イミダゾール触媒系で硬化阻害が起こることが問題視されている。本研究では,フェニルグリシジルエーテルをモデル化合物として用い,エポキシ化合物/イミダゾール/リン酸エステル系の加熱反応物を1H-NMR および GC-MASS により解析して,硬化阻害機構の解明を行った。その結果,まずリン酸エステルが系中に微量存在する水酸基により分解し,生じた遊離水酸基がエポキシ基と反応することによって硬化阻害が起こると推測されることを見出した。
  • 吉田 一浩, 橋本 和美, 越智 光一
    2009 年30 巻6 号 p. 317-324
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    分子構造が異なるフェニルシルセスキオキサン(ダブルデッカー型,かご型,ラダーライク型)をベースとするエポキシ樹脂をそれぞれ調製し,テトラエチレンペンタミンを硬化剤に用いて硬化物を作成した。得られた硬化物は熱重量分析と動的粘弾性で熱物性を評価し,引張り試験で機械特性を測定してエポキシ樹脂の構造と物性の相関を検討した。その結果,熱重量分析からは熱分解温度や分解挙動はエポキシ樹脂の構造に依存しないことが分かった。動的粘弾性の測定結果からは,各エポキシ樹脂のガラス転移温度は,ダブルデッカー型,かご型,ラダーライク型それぞれ87℃,80℃,67℃に確認した。貯蔵弾性率はガラス転移温度の前後で変化が小さく,広い温度範囲でゴム状平坦域を有することがわかった。引張り試験で得られる応力-歪み曲線から破壊エネルギーを求めたところ,最小はラダーライク型の1.3kJ/cm3,最大はダブルデッカー型の23.6kJ/cm3 であり,ダブルデッカー型はラダーライク型に対して約18倍大きい値を示し,ラダーライク型の弱点である脆さを改善できる可能性が得られた。以上の結果から,シルセスキオキサンを骨格とするエポキシ樹脂の構造と物性の間には,熱的性質はほとんど相関が見られなかったが,ガラス転移温度,機械特性はシルセスキオキサンの分子構造に依存することが判明した。
  • 彼谷 美千子, 小舩 美香, 木村 直行, 小田 寛人
    2009 年30 巻6 号 p. 325-331
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    フェノール樹脂と種々のフィラーからなる成形材料の機械的強度と耐摩耗性について検討した。その結果,潤滑性と表面付着性に優れる炭素物質と無機フィラーの添加により,フェノール樹脂成形材料の耐摺動摩耗性が大幅に向上することを明らかにした。さらに,摩耗面を調査した結果,摩耗粉が滑り性のよい自己修復性被膜を形成することにより,耐摩耗性が改善することが確認された。この材料はPPS,PEEK などの熱可塑性樹脂で見られるような摩擦熱による融解現象がなく,潤滑油なしで優れた耐摩耗性を示す上,良好な機械的強度を示す。
総説
  • 一瀬 佳史
    2009 年30 巻6 号 p. 332-343
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    塗料は数μm から数十μm といった薄い膜で素材を保護し,美観を与え,さらに遮熱,低汚染,などの機能を付与し,それを長期間にわたって維持するということで,環境保護に貢献している製品である。現在多くの塗料は硬化型塗料であり,硬化反応の選択は塗料設計の重要な要素技術の一つである。さらに近年,地球環境保護の観点から揮発性有機化合物(VOC)の排出規制やCO2 を主体とした地球温暖化ガスの排出制限がなされており,塗料においてもその対応が大きな課題となっている。塗料の成膜工程において,VOC やCO2 の多くは乾燥工程で発生するので,この部分の改良が必要である。乾燥工程におけるVOC の削減には溶剤型塗料から水性塗料や粉体塗料への転換が必要であり,それらに適した硬化反応の選択が重要である。また,CO2 削減には低温短時間で硬化する反応系が必要である。本稿では水性塗料や粉体塗料で用いられる硬化系と,低温短時間硬化の重要な手段であるUV 硬化系の紹介を行う。
  • 山田 哲弘
    2009 年30 巻6 号 p. 344-354
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
    オリゴロイシン基を導入した両親媒性化合物を用い,その化合物が形成する超分子フィルムの物性を,加圧や熱処理によって向上させた事例を示した。この分子は,自己組織化してβ-シート構造を形成すると,隣り合うシートの間でロイシン側鎖の噛み合いが可能になる。そこで,気水界面に展開した分子を凝縮したり,油圧プレス機を用いてキセロゲルを力学的に加圧したりすると,β-シート同士を接着できることがわかった。この噛み合いは分子ジッパーの一種で,ここではロイシンファスナーと呼ぶことにする。ロイシンファスナーは,π-A 曲線に現れる一時的な表面圧の増加や,原子間力顕微鏡(AFM)による表面形態観察の結果から間接的に判断できるが,ロイシンファスナー形成が推測されるフィルムのMAIRS解析を行うと,メチル基の非対称伸縮振動に帰属される吸収帯(νasCH3)の一部が 2955cm-1 付近から2985cm-1 にまでシフトすることがわかり,これが直接的な検出手段になることを明らかにした。また,ロイシンファスナーが形成されると引っ張り応力が増加し,ヘキサロイシン基を有する化合物で最大2.5MPaの応力が得られた。加圧によって向上する性質は引っ張り応力だけではなく,柔軟性の向上という点にもあらわれ,ロイシンファスナーが形成されたフィルムは折り曲げても割れることのない柔軟性を持つようになることもわかった。
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