抄録
高熱伝導性フィラー(窒化ホウ素(BN))粒子を周囲に配置した反応性樹脂粒子(フェノール樹脂粒子)を作製し,それを用いて成形することでハニカム構造に近い構造を持つ複合材料を得た。一方,アセトン抽出量がさらに大きいフェノール樹脂粒子を用いて,通常の均一分散構造である複合材料を得ることができた。これらの複合材料の熱伝導率を比較して,ハニカム類似構造を持つことで,BN 粒子の比較的低充填量(30 ~50vol%)で,高熱伝導化を図ることができた。特に,ハニカム類似構造を持つ複合材料はその充填量付近では,通常の均一分散構造である複合材料の2 倍以上の熱伝導率を持っていた。さらに,種々の熱伝導モデル(Maxwell-Eucken,Bruggeman 及び著者らが提案したモデル)の適用性を調べ,通常の均一分散構造である複合材料の熱伝導率はいずれの予測式で説明できたが,ハニカム類似構造を持つ複合材料の熱伝導率を説明できるのは,著者らがすでに提案している熱伝導モデルだけであった。