ネットワークポリマー
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32 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 宍倉 朋子, 植村  幸司, 高田  泰廣, 工藤  伸一
    2011 年32 巻1 号 p. 2-9
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    著者らは,UV 硬化性官能基を有するポリシロキサンとアクリルポリマーを化学的に複合化する新規な合成方法を開発し,得られた樹脂溶液や硬化フィルムの特性について,系統的な評価を行っている。現在までに,樹脂固形分中のポリシロキサン成分が25%~90%のハイブリッド樹脂を,ゲル化や増粘を伴わずに安定的に合成する方法を確立し,かつ,ポリシロキサン成分が75% 以下であれば,40℃で1 ヵ月以上の長期保存でも,樹脂溶液の特性に変化がないことを見出した。さらに,合成したハイブリッド樹脂を主剤とするUV コート剤を調製して,高圧水銀ランプによるUV 照射にてクリヤーフィルムを作製し,各種耐候性試験を実施した。サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験の結果,塗料固形分中のポリシロキサン成分が15% 以上であれば,5000 時間経過後の色差⊿E が2.0 以下であり,硬化フィルムの高い耐黄変性を確認することができた。また,沖縄における3 年以上の屋外曝露試験でも目視外観に変化がなく,フッ素樹脂コート剤に匹敵する高い耐候性が実証された。このような特性から,開発中のUV 硬化樹脂は,屋外使用を想定したプラスチック基材の保護コート剤としての応用が期待できる。
  • 上利  泰幸, 平野  寛, 門多  丈治, 長谷川  喜一
    2011 年32 巻1 号 p. 10-18
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    高熱伝導性フィラー(窒化ホウ素(BN))粒子を周囲に配置した反応性樹脂粒子(フェノール樹脂粒子)を作製し,それを用いて成形することでハニカム構造に近い構造を持つ複合材料を得た。一方,アセトン抽出量がさらに大きいフェノール樹脂粒子を用いて,通常の均一分散構造である複合材料を得ることができた。これらの複合材料の熱伝導率を比較して,ハニカム類似構造を持つことで,BN 粒子の比較的低充填量(30 ~50vol%)で,高熱伝導化を図ることができた。特に,ハニカム類似構造を持つ複合材料はその充填量付近では,通常の均一分散構造である複合材料の2 倍以上の熱伝導率を持っていた。さらに,種々の熱伝導モデル(Maxwell-Eucken,Bruggeman 及び著者らが提案したモデル)の適用性を調べ,通常の均一分散構造である複合材料の熱伝導率はいずれの予測式で説明できたが,ハニカム類似構造を持つ複合材料の熱伝導率を説明できるのは,著者らがすでに提案している熱伝導モデルだけであった。
  • アルコキシ基数の異なる分子の混合比と付着量の影響
    中村 吉伸, 西田 祐詞, 藤井 秀司, 佐々木 眞利子
    2011 年32 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル 認証あり
    メルカプト基含有シランカップリング剤で球状シリカ粒子の表面処理を行い,シラン分子鎖の易動性におよぼすアルコキシ基の数(2 または3),および分子混合比と被覆量の影響を1H パルスNMR で検討した。表面処理時に添加したシラン量は,単分子層被覆に必要な量の1.5 ~7.0 倍としてシランの被覆量を変化させた。アルコキシ基の数が2 の場合のシラン鎖は直鎖状,3 の場合はネットワーク状になり,パルスNMR による緩和挙動は前者がフレキシブルで後者がリジッドであることを示していた。混合処理系は両者の中間で,混合比に依存してネットワークの疎密が変化した。また,被覆量とアルコキシ基の数が2 の成分が増加するほどシラン分子鎖の易動性が上昇した。
  • 中川  尚治, 広田  伸也, 薮ノ内  伸晃, 柴田  圭史, 安田  雄一郎, 真継  伸, 日高  優, 松井  絢子, 大平 浩輝, ...
    2011 年32 巻1 号 p. 26-34
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    リサイクルが困難な繊維強化プラスチック(FRP と略記)の亜臨界水による高付加価値化・水平リサイクルにおいて,スチレン-フマル酸共重合体(SFC と略記)をFRP 成形用低収縮剤としての機能を発現させるための改質剤として各種のアルコールを評価し,1- オクタノールが最適であることを見出した。1- オクタノールによるSFC 分離・改質プロセスのスケールアップを検討し,パイロットプラントを製作した。それを用いて実証実験を行い,ベンチスケール実証実験の性能に対して,SFC 分離プロセスは同等の抽出率97%,SFC 改質プロセスはほぼ9 割に当る75%の改質率を達成した。得られた改質液へのメタノール添加量を最適化し,改質SFC を良好に排出することに成功した。得られた改質SFC を再生低収縮剤として市販低収縮剤と比較評価した結果,同等以上の収縮制御性能で品質面でも問題ないことを確認した。また成形後の断面を観察し,再生低収縮剤は市販低収縮剤に対して,より小さな空隙が多数,均一に分散していることが分かった。
総説
解説
  • 篠原 寛文
    2011 年32 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    FRP は金属に比べ軽くて強いという優れた特長を有しており,バスタブといった用途から航空機等の用途まで広範囲に渡り使用されている。その多くは不飽和ポリエステル樹脂(UPE)をマトリックスとしたものであるが,近年フェノール樹脂をマトリックスとしたフェノールFRP(以下,Ph-FRP)の利用が盛んになってきている。その理由として,Ph-FRP は極めて燃えにくく,燃焼時の煙の発生量も少なく有毒ガスをほとんど排出しない等の優れた特長を有しているためである。これまでに航空機のラバトリー,鉄道車両においては窓枠や天井部材等で既に実用化されており,英国では船舶のキッチン周りにも用いられている材料である1)。近年注目されているPh-FRP であるが,製造方法のほとんどはハンドレイアップ法(以下,HLU)が用いられている。この製法は,型に賦形したガラス繊維などの強化材の上に樹脂を人手で含浸する方法であり,特長としては少量多品種生産に適した成形法である。しかしながらこの製法は手作りのため,2 ~3 個/時間程度が限界であり,ロットの製品数が多くなると必ずしも適した成形法とは言い難い。一方,シートモールディングコンパウンド法(以下,SMC)は専用の装置にて原料SMC シートを作成すれば,その後は5 分/個程度のサイクルで加熱加圧成形し製品を得ることができるため,大ロット製品には非常に適した成形法の一つである。しかしながら,これまでのフェノールSMC(以下,Ph-SMC)の検討結果を顧みると,長期的な反り・変形といった問題が発生し,実用化まで至っていないのが現状である。そこで,本研究では,主にPh-SMC の課題であった長期的な反り・変形を改善すべく検討を行い,従来より広く使用されている不飽和ポリエステルSMC(以下,UPE-SMC)と比較検討を行った。そこで,本研究では,主にPh-SMC の課題であった長期的な反り・変形を改善すべく検討を行い,従来より広く使用されている不飽和ポリエステルSMC(以下,UPE-SMC)と比較検討を行った。
  • 大西 晃宏
    2011 年32 巻1 号 p. 50-57
    発行日: 2011/01/10
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    1.フーリエ変換赤外分光分析法 フーリエ変換赤外分光分析法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy;FTIR)1)-19)は代表的な高分子の分析方法として広く応用されている。物質の同定,定量,構造解析に有用な測定法であるとともに,幅広い応用範囲を持ち,簡易的かつ迅速な測定を行える。 さらには有害な溶媒を使用することが少ない環境に優しい測定法と云えるであろう。また,ネットワークポリマーを対象とした場合,ネットワークポリマーは架橋反応に伴って溶剤に不溶化するため,物理状態によって様々な分析手段を選定しなければならない。しかし,FTIR は液状から固状まで試料を選ばずに測定できる大変有用な測定法である。 本解説ではFTIR の原理,測定法,応用例を説明する。
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