ネットワークポリマー
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総説
ケイ素-オリゴチオフェンからなる機能性高分子材料の開発と 無機酸化物とのハイブリッド化
大下 浄治
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2011 年 32 巻 5 号 p. 276-282

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抄録
π電子系をケイ素で架橋したタイプの化合物・ポリマーは,発光材料・キャリア輸送材料などとして興味が持たれている。これまで,著者らは,オリゴチオフェンなどをケイ素架橋したポリマーが有機EL 素子のホール輸送材料として利用可能であることを報告してきたが,最近,このタイプの化合物が有機FET(電界効果トランジスタ)の活性層として機能することを見いだした。特に,三つのオリゴチオフェンを有機ケイ素基で架橋した星型分子は,その真空蒸着膜で良好なFET 特性を示し,移動度は最高で0.064cm2/Vs に達した。また,ジシランとオリゴチオフェンの交互構造からなるポリマーは,酸化チタン表面と紫外光照射下で反応し,酸化チタンに化学的に固定できること,ポリマーを固定化した酸化チタン電極がDSSC(色素増感太陽電池)に応用できることを見いだした。ポリマーとSWNT(単層カーボンナノチューブ)をボールミル中で混合すると,ポリマー-SWNT の可溶性ハイブリッド材料が得られる。これをさらに酸化チタンとハイブリッド化して,DSSC に利用すると,SWNT の存在しない系に比べて光電変換効率の顕著な向上が見られた。
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© 2011 合成樹脂工業協会
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