ネットワークポリマー
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総説
高分子量フェノール系樹脂の分子構造と分子形態について
山岸 忠明
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2011 年 32 巻 6 号 p. 344-350

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抄録
高分子量フェノールノボラック樹脂および高分子量オルトクレゾールノボラック樹脂を合成し,高分子量フェノール系樹脂の主鎖の分子骨格の構造解析を行うとともに,分子形態に及ぼす主鎖骨格の影響を検討するためアセチル化後にその溶液物性を検討した結果を紹介した。本稿では,THF を良溶媒,2- エトキシエタノールおよびTHF /シクロヘキサン混合溶媒をθ溶媒として,極限粘度[η]から,高分子量フェノールノボラック樹脂および高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂の分子形態について検討した。高分子量フェノールノボラック樹脂の場合,Mark-Houwink-Sakurada(MHS)式([η]=KMa)の指数 a の値は,THF 中およびθ溶媒中で0.24 および0.23 となり,分岐状高分子としてふるまうことが分かった。一方,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂では,THF 中0.46,θ溶媒中で0.28 となり,典型的な線状高分子であるポリスチレンの場合に比べ,かなり小さくなった。しかしながら,排除体積効果を示す膨張因子η3(=[η][η]/θ)は,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂とポリスチレンは同様な傾向を示した。さらに,高分子量のアセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂はθ溶媒中でガウス鎖としてふるまうことが分かり,線状高分子の特徴を有していることが確認された。以上のように,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂は,高分子量フェノールノボラック樹脂と同様の分子形態をもちつつ,ポリスチレンと同様な排除体積効果を示すなど,線状高分子として挙動することが明らかとなった。これは,高分子量フェノール系樹脂が,フェノール環とメチレン結合からなる分子骨格に由来した特殊な分子形態をとるためと考えられた。
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© 2011 合成樹脂工業協会
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