抄録
樹木は,森林を経由する炭酸ガスと水の流れにおける陸上での一形態であり,いずれは再び微少分子を経て森林から流れ去る。生態系をかく乱しない持続的な社会の構築には,森林を「エネルギー」,「機能」,「時間」の3 因子でマテリアルフローとして動的に理解し,それを材料・原料の流れとして具現化する新しい技術と社会システムが必須となる。森林系分子の循環設計を解読し,その循環型材料への持続的な展開について考える。そして生態系の素材に存在する「環境規格」を,環境因子を反映する環境規格素材「リグニン」を例に解き明かす。