ネットワークポリマー
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相分離構造を活かしたAg- エポキシ系導電性接着剤
田中  沙苗中島  康彰岸  肇
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2012 年 33 巻 3 号 p. 140-145

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抄録
銀添加のエポキシ樹脂について,相構造と導電性,接着性との関係を検討した。エポキシ樹脂中に相構造を形成するため,ポリエーテルスルホン(PES)を改質剤として用いた。主剤エポキシ樹脂にビスフェノールA 型ジグリシジルエーテル(DGEBA)を用い,メチレンジアニリン(MDA)によって硬化させた。PES をブレンドしたエポキシ樹脂は,硬化過程において反応誘起型相分離による相構造を形成した。PES を15wt%含有する場合,エポキシリッチ相,PES リッチ相ともに連続相である共連続構造を形成した。このDGEBA/PES/MDA アロイ樹脂に直径0.8μm のAg フィラーを任意割合で添加した。電子顕微鏡観察より,Ag フィラーは硬化後の樹脂中で選択的にエポキシリッチ連続相に局在化することが分かった。PES /Ag(14.6vol%)添加エポキシ接着剤は,PES を添加しないAg(14.6vol%)添加エポキシ接着剤と比べ1000 万倍以上の導電性を発現した。 Ag フィラーがエポキシ連続相に局在化し,フィラー間の接触面積が増加したために,PES 無添加樹脂に比べ高い導電率が得られたと考えられる。
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© 2012 合成樹脂工業協会
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