ネットワークポリマー
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エポキシドの開環重合における各種スルホニウム塩の 熱潜在性カチオン重合開始剤としての特性
松本 幸三下川 瑛志上野 卓朗河岡 良明高下 勝滋遠藤 剛
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2012 年 33 巻 6 号 p. 329-335

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抄録

4- ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウム(4-HPBS)のカチオンと,ビス(トリフルオロメタン)スルホンニルイミド(TFSI),トリシアノメタニド(TCM),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート (TFPB),およびヘキサフルオロアンチモナート(SbF6)のアニオンからなる高イオン解離性の塩を用いて,エポキシドのカチオン重合における熱潜在性開始剤としての特性を検討した。その結果,重合活性は,カチオン部がTFPB >SbF6 >TFSI >TCM の順に高いことが分かった。また,重合活性が高い4-HPBS・TFPB,4-HPBS・SbF6 塩について,4- アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム(4-APBS)をカチオンとする4-APBS・TFPB,4-APBS・SbF6 塩との活性を比較した。その結果,カチオン部が4-APBS 塩は4-HPBS 塩よりも重合活性が高くなったが,室温での貯蔵安定性が著しく低下することが分かった。これらの実験結果より,4-HPBS・TFPB 塩が新規な熱潜在性重合開始剤として最も有望であると考えられた。

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© 2012 合成樹脂工業協会
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