ネットワークポリマー
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33 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 宮田  篤史, 鵜坂  和人, 松本  信介, 山崎  聡
    2012 年33 巻6 号 p. 314-322
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    石油資源の使用量削減と炭酸ガス排出削減のため,非可食の植物油を変性したポリオール(以下,バイオポリオールと略する)を用いた軟質ポリウレタンフォームの開発を行ってきた。その結果,自動車のシートクッション用軟質ポリウレタンフォームの規格に適したバイオポリオールを上市することができた1)が,ポリウレタンフォーム中の植物度の向上,すなわち,バイオポリオールの使用量の増加にともない,フォームの諸物性が低下し,シートクッションとしての規格を満足することが困難であった。今回,ポリオールの出発原料であるヒマシ油を高純度化したバイオポリオールを調製すると共に,バイオポリオールと石油系ポリオールとの相容性を改善することにより,高い植物度を有した軟質ポリウレタンフォーム用バイオポリオールを開発することができたので,その特徴について報告する。
  • 牧内  直征, 須藤  篤, 遠藤  剛
    2012 年33 巻6 号 p. 323-328
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂の硬化剤,硬化促進剤としてイミダゾールが古くから使用されているが,本研究ではアミノピリジン類に着目し,エポキシ樹脂の硬化挙動について粘度測定,DSC 測定等により,その相違点を比較した。イミダゾール(Im),4- アミノピリジン(AP),4- ジメチルアミノピリジン(DMAP)の3 種の開始剤それぞれとビスフェノールA 型ジグリシジルエーテル(DGEBA)を混合したサンプルについて,反応率に対する活性化エネルギーの変化を見積もった結果,それぞれ異なる傾向を示すことが分かった。開始剤としてDMAP を用いた場合には反応の進行とともに活性化エネルギーが上昇し重合の進行が抑制されるのに対し,Im を用いた場合では反応進行とともに徐々に活性化エネルギーが低下し,重合が促進される傾向が見られた。そして,AP ではその傾向がより顕著なものであることが明らかとなった。以上のことより,AP がエポキシ硬化触媒として,Im 以上に優れた触媒活性を示すことが明らかとなった。
  • 松本 幸三, 下川 瑛志, 上野 卓朗, 河岡 良明, 高下 勝滋, 遠藤 剛
    2012 年33 巻6 号 p. 329-335
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/06/25
    ジャーナル フリー
    4- ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウム(4-HPBS)のカチオンと,ビス(トリフルオロメタン)スルホンニルイミド(TFSI),トリシアノメタニド(TCM),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート (TFPB),およびヘキサフルオロアンチモナート(SbF6)のアニオンからなる高イオン解離性の塩を用いて,エポキシドのカチオン重合における熱潜在性開始剤としての特性を検討した。その結果,重合活性は,カチオン部がTFPB >SbF6 >TFSI >TCM の順に高いことが分かった。また,重合活性が高い4-HPBS・TFPB,4-HPBS・SbF6 塩について,4- アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム(4-APBS)をカチオンとする4-APBS・TFPB,4-APBS・SbF6 塩との活性を比較した。その結果,カチオン部が4-APBS 塩は4-HPBS 塩よりも重合活性が高くなったが,室温での貯蔵安定性が著しく低下することが分かった。これらの実験結果より,4-HPBS・TFPB 塩が新規な熱潜在性重合開始剤として最も有望であると考えられた。
  • 横山  大祐, 齋藤  宏典, 北井  佑季, 藤原  弘明, 稲垣  佳那
    2012 年33 巻6 号 p. 336-340
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    近年,情報処理や通信の発達に伴い,プリント配線板にも電気特性の高機能化が求められている。ポリフェニレンエーテル(PPE)は,電気特性に優れ,伝送速度の高速化や伝送損失の低減に効果がある一方,溶融粘度が高く,反応性も低いため,熱硬化性樹脂への応用が困難であった。そこで著者らは,低分子量化したPPE に着目した。低分子量化したPPE は溶融粘度が低く配合割合を多くすることができるため,PPE の特徴を最大限活かした熱硬化性樹脂設計が可能であると考えた。低分子量化したPPE の末端OH 基は,一般的な高分子量タイプのPPE に比べると,分子運動の自由度が上がり,熱硬化性が高くなることが予測できるが,熱硬化性樹脂によく用いられるフェノール樹脂と比較すると,オルト位のメチル基による立体障害などの影響で熱硬化性の低さが懸念される。そこで今回は,末端OH 基の反応性を検討した上で,エポキシとの熱硬化物の物性を評価した。 その結果,低分子量化したPPE では,末端OH の反応性が良好であることが分かった。また,このPPE とエポキシを用いて作製した積層板は,ガラス転移温度と電気特性がともに良好であることが分かった。
総説
  • 原口 和敏
    2012 年33 巻6 号 p. 341-353
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    「高分子系有機-無機ナノコンポジット」は,種々の無機ナノ粒子を高分子マトリックス中に分散することで,力学物性,耐熱性,ガスバリアー性などの向上を狙ったものである。しかし,高分子ヒドロゲルにおいては,かかる分散・強化の手法では物性改良は無視できる程度しか生じない。著者らは,無機クレイナノ粒子をネットワークの超多官能架橋成分として用いて,効果的な有機(高分子)-無機(クレイ)ネットワークを構築することにより,水を主成分とする高分子ヒドロゲルの力学物性が驚異的に向上し,新たな機能性ソフトマテリアルとしての展開が可能となることを見いだした。また,基幹となる有機-無機ネットワーク構造の構築では,クレイが単に架橋点として働くだけでなく,ラジカル重合にも大きな効果を及ぼしていることが明らかとなった。本稿では,更に,電解質ゲルとしての膨潤挙動,含水率制御による物性変化,自己修復性や新たな刺激応答性の発現など,有機-無機ネットワーク構造に由来するNC ゲルの興味深い特性,及びネットワーク変性による新たなナノコンポジット(ゲル)材料への展開について解説する。
解説
  • 川井 宏一
    2012 年33 巻6 号 p. 354-360
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂は硬化物が機械的性質,耐水・耐湿性,耐薬品性,耐熱性,接着性,電気的性質などに優れるほか,取り扱いが簡便でかつ価格が低く抑えられるといったバランスの取れた材料であることから,接着剤,塗料,積層板,成型材料,注型材料,レジストなどの幅広い用途に使用されている。エポキシ樹脂が使用される分野の一つである電気・電子材料分野では機器の発展に伴い部品の高密度化・高集積化が急速に進んでおり,冒頭に挙げた特性の中では特に耐熱性,いわゆるガラス転移温度(Tg)の向上が常に要求される状況にある。その他,最近のトレンドとして車載用途などのパワーモジュールのように高温条件下で駆動するアプリケーションに使用される材料では高Tg 化だけでなく,耐熱分解性や難燃性の向上など,熱に関わるさまざまな要求が強くなっている。これらの要求特性に対してはエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤,硬化促進剤,各種添加剤の選択や配合処方の組み合わせによっても特性の向上を図ることができるが,含有成分の中ではエポキシ樹脂の特性に大きく左右されることから,要求品質を達成するエポキシ樹脂の開発に期待が寄せられている。エポキシ樹脂は1 分子中に二つ以上のエポキシ基を有する樹脂を表し,その中で1 分子中のエポキシ基の数が平均で二つより多い多官能型エポキシ樹脂と,ビスフェノールA 型エポキシ樹脂のように1 分子中のエポキシ基の数が二つである2 官能型エポキシ樹脂との二つに分類される。多官能型エポキシ樹脂は硬化物が架橋する際に3 次元的な架橋を組めることからネットワークは強固なものとなり,高温状態でも分子の動きが制限されるため2 官能エポキシ樹脂と比較して耐熱性に優れる(高Tg となる)傾向にある。多官能型エポキシ樹脂として一般的に知られているのがノボラック型エポキシ樹脂である。なかでもScheme 1
  • 田中 敬二
    2012 年33 巻6 号 p. 361-366
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    空気などの異種媒体と接触する高分子表面の構造および物性は,濡れ性,摩擦特性,接着性,生体適合性など,さまざまな表面機能特性の発現と密接に関連している。したがって,高度に機能化された高分子表面を創製するためには,その構造と物性を正確に理解し,精密に制御する必要がある。高分子表面は材料内部と比較して極めて異なったエネルギー状態にあり,その構造と物性はバルクと著しく異なっていることが,コンピューター・シミュレーションや分析技術の発展とともに明らかにされつつある。しかしながら,これまでの材料設計においては表面構造のみしか考慮されておらず,物性,特にレオロジー特性の制御に関してはほとんど検討されていない。ここでは,走査フォース顕微鏡(SFM)1)を用いた高分子表面の分子運動特性解析を中心に解説する。
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