ネットワークポリマー
Online ISSN : 2186-537X
Print ISSN : 1342-0577
ISSN-L : 1342-0577
総説
有機-無機ネットワークの分子論的考察 その2
原口 和敏
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 33 巻 6 号 p. 341-353

詳細
抄録

「高分子系有機-無機ナノコンポジット」は,種々の無機ナノ粒子を高分子マトリックス中に分散することで,力学物性,耐熱性,ガスバリアー性などの向上を狙ったものである。しかし,高分子ヒドロゲルにおいては,かかる分散・強化の手法では物性改良は無視できる程度しか生じない。著者らは,無機クレイナノ粒子をネットワークの超多官能架橋成分として用いて,効果的な有機(高分子)-無機(クレイ)ネットワークを構築することにより,水を主成分とする高分子ヒドロゲルの力学物性が驚異的に向上し,新たな機能性ソフトマテリアルとしての展開が可能となることを見いだした。また,基幹となる有機-無機ネットワーク構造の構築では,クレイが単に架橋点として働くだけでなく,ラジカル重合にも大きな効果を及ぼしていることが明らかとなった。本稿では,更に,電解質ゲルとしての膨潤挙動,含水率制御による物性変化,自己修復性や新たな刺激応答性の発現など,有機-無機ネットワーク構造に由来するNC ゲルの興味深い特性,及びネットワーク変性による新たなナノコンポジット(ゲル)材料への展開について解説する。

著者関連情報
© 2012 合成樹脂工業協会
前の記事 次の記事
feedback
Top