最も古い合成樹脂であるフェノール樹脂が,ベルギー生まれアメリカの技術者レオ・H・ベークランド博士によって1907 年に工業的に実用化されてから百年余りが経過した。この間,比較的安価で耐熱性,強度などの優れたパフォーマンスを有するこの樹脂は,日用雑貨品から最先端の高機能材料に至るまで,新たな市場用途に合わせて進化適応しながら極めて幅広く用いられてきた。本報ではフェノール樹脂の最近の進歩について,主に合成法,硬化方法などの基本技術を中心におき,グリーンケミストリーの観点から硬化物リサイクルの現状と天然物由来の樹脂原料についてまとめた。