ネットワークポリマー
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34 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 岡村  晴之, 初瀬  達也, 白井  正充
    2013 年 34 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    2- ビニロキシエチルメタクリラートとジカルボン酸誘導体との反応により,熱分解が可能なヘミアセタールエステル部位を有する新規ジメタクリラートを合成し,リワーク型樹脂へ応用した。得られたジメタクリラートは熱分解温度が170℃以上であり,高い熱安定性を有していた。熱ラジカル開始剤α, α’- アゾビスイソブチロニトリルを添加したジメタクリラートは,窒素下で120℃の加熱により不溶化した。この熱硬化サンプルを所定温度で加熱すると,溶媒に可溶となった。熱硬化反応および熱分解反応をFT-IR スペクトルおよびマススペクトルにより解析し,メタクリル部位の反応とヘミアセタールエステル結合の分解を確認した。
  • 山﨑  博人, 竹内  勇磨, 古本  貴久, 黒岩  貞昭, 河目  俊充
    2013 年 34 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    ポジ型フォトレジスト材を用いたドライフィルムを作製できるようになれば,新たなニーズの展開が期待できる。本研究では,柔軟性をもつレジスト用クレゾールノボラック樹脂を開発するため,アルデヒド成分にn- ブチルアルデヒド(Bu)を用い,分子内に側鎖構造を導入して柔軟性を発現することを検討した。目的のクレゾールノボラック樹脂(m-Cre/Glu-Bu)は,グルタルアルデヒド(Glu)とm- クレゾール(m-Cre)との付加縮合に続いて,Bu を添加して反応させることで合成した。樹脂骨格内へのBu 成分の導入は,TOF-MASS および 13 C-NMR 測定より確認した。得られた樹脂の中から,アルカリ水溶液溶解速度≦300Å/s とMw ≧2000 の両条件を満たすものを選出した。これらをポリイミドフィルム上に膜厚5μm に塗布した試料を折り曲げ,折り曲げ面の樹脂の飛散状態から柔軟性を評価した。アルデヒド成分にホルムアルデヒドを用いた樹脂の折り曲げ面は砕け散っていたが,m-Cre/Glu-Bu系樹脂のそれは,砕けることなくひび割れが入る程度であった。なお,m-Cre/Glu-Bu 系樹脂の柔軟性は,動的粘弾性測定結果からも確認できた。描画性能は,シリコンウェハ上に樹脂を膜厚1.5μm となるように塗布し,レジストパターン作成して評価した。柔軟性をもつm-Cre/Glu-Bu 系樹脂の中には,97%以上の残膜率と4.0μm までの描画能を有するものもあった。
  • 平尾  昂平, 賀川  美香, 大山  俊幸, 高橋  昭雄
    2013 年 34 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    3,3’-(メチレン-1,4- ジフェニレン)ビス(3,4- ジヒドロ-2H-1,3- ベンゾオキサジン)(P-d 型ベンゾオキサジン,P-d)が異なる2種の手法によって強靭化された。改質剤にN-フェニルマレイミド-スチレン交互共重合体(PMS)を用いたin situ 重合法による強靭化では改質剤のラジカル重合がベンゾオキサジンによって阻害されたため,強靭化が達成されなかった。そこで,ビスフェノールA ジグリシジルエーテル(DGEBA)をPMS のラジカル重合の媒体として用いた手法を考案したところ,硬化物中に相分離構造が得られ,破壊靭性値(KⅠC)が55%向上した。また,添加するモノマーの溶解度パラメーター(SP 値)に着目してn- ブチルメタクリレートやスチレンを選択したところ,ベンゾオキサジン存在下でのin situ 重合法による強靭化も達成され,最終的にはポリベンゾオキサジン特有の高い曲げ強度を損なうことなくKⅠC が43%向上した。
  • Demirci Ali, Matsui Jun, Mitsuishi Masaya, Watanabe Akira, Miyashita ...
    2013 年 34 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    Hybrid organic-inorganic polymers were synthesized through hydrosilylation of 1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasilox ane (TMCS) and divinyl-terminated tetramethylsiloxane (DTMS) monomers. Controlling the hydrosilylation reaction by varying the feeding ratio as well as the total monomer concentration, chemically-soluble TMCS-DTMS hybrid polymers were obtained as a liquid state. The resulting polymer was colorless and viscous liquid, seemingly took linearly elongated structures without no remarkable gel-form. Unreacted Si-H groups remained in the polymer, which allowed network formation of the TMCS-DTMS hybrid polymer with various crosslinkers such as DTMS, divinylbenzene (DVB), 3,3’-divinylbiphenyl (DVBP), and di(ethyleneglycol) divinylether (DEG). Consequently, transparent and thermally stable hybrid networked polymer films with a thickness of ca. 0.2 mm were prepared through hydrosilylation and self-condensation reaction under curing process, which was proved using FT-IR spectroscopy.
総説
  • 大塚 恵子
    2013 年 34 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂は,その構造や硬化剤の種類だけでなく,フィラー,ゴム,添加剤など副資材の組み合わせによってさまざまな要求特性に対応できるために電子材料分野では必要不可欠な材料である。しかし,最近の電子機器の高性能・高機能化に伴い,従来のエポキシ樹脂では対応できない特性が要求されており,その要求特性は年々高度化している。これらの要求特性に対して,新規な構造を有するエポキシ樹脂や硬化剤の開発,改質剤や充てん剤による変性,あるいは他の樹脂とのアロイやナノコンポジットなどが行われている。著者らは,エポキシ樹脂の側鎖に導入したヒドロキシメチル基やアリル基の反応性を利用して,新規な構造を有するエポキシ樹脂の開発を行った。ここでは,それらの合成と硬化物物性について紹介する。
  • 稲冨 茂樹
    2013 年 34 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2013/01/10
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    最も古い合成樹脂であるフェノール樹脂が,ベルギー生まれアメリカの技術者レオ・H・ベークランド博士によって1907 年に工業的に実用化されてから百年余りが経過した。この間,比較的安価で耐熱性,強度などの優れたパフォーマンスを有するこの樹脂は,日用雑貨品から最先端の高機能材料に至るまで,新たな市場用途に合わせて進化適応しながら極めて幅広く用いられてきた。本報ではフェノール樹脂の最近の進歩について,主に合成法,硬化方法などの基本技術を中心におき,グリーンケミストリーの観点から硬化物リサイクルの現状と天然物由来の樹脂原料についてまとめた。
解説
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