ネットワークポリマー
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n- ブチルアルデヒドを用いたクレゾールノボラック樹脂の合成と性質: 柔軟性をもつフォトレジスト材の開発
山﨑  博人竹内  勇磨古本  貴久黒岩  貞昭河目  俊充
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2013 年 34 巻 1 号 p. 9-18

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抄録
ポジ型フォトレジスト材を用いたドライフィルムを作製できるようになれば,新たなニーズの展開が期待できる。本研究では,柔軟性をもつレジスト用クレゾールノボラック樹脂を開発するため,アルデヒド成分にn- ブチルアルデヒド(Bu)を用い,分子内に側鎖構造を導入して柔軟性を発現することを検討した。目的のクレゾールノボラック樹脂(m-Cre/Glu-Bu)は,グルタルアルデヒド(Glu)とm- クレゾール(m-Cre)との付加縮合に続いて,Bu を添加して反応させることで合成した。樹脂骨格内へのBu 成分の導入は,TOF-MASS および 13 C-NMR 測定より確認した。得られた樹脂の中から,アルカリ水溶液溶解速度≦300Å/s とMw ≧2000 の両条件を満たすものを選出した。これらをポリイミドフィルム上に膜厚5μm に塗布した試料を折り曲げ,折り曲げ面の樹脂の飛散状態から柔軟性を評価した。アルデヒド成分にホルムアルデヒドを用いた樹脂の折り曲げ面は砕け散っていたが,m-Cre/Glu-Bu系樹脂のそれは,砕けることなくひび割れが入る程度であった。なお,m-Cre/Glu-Bu 系樹脂の柔軟性は,動的粘弾性測定結果からも確認できた。描画性能は,シリコンウェハ上に樹脂を膜厚1.5μm となるように塗布し,レジストパターン作成して評価した。柔軟性をもつm-Cre/Glu-Bu 系樹脂の中には,97%以上の残膜率と4.0μm までの描画能を有するものもあった。
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© 2013 合成樹脂工業協会
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