抄録
エポキシ樹脂の類縁体であるオキセタン樹脂は,1990 年代に至るまでその工業的な応用例はほとんど見られていなかった。西久保らによるオキセタン環の有機化学的な反応性に関する一連の報告に引き続き,著者らもオニウム塩系の光酸発生剤を用いたオキセタン類の光カチオン重合特性についての報告を行っている。これらの報告によりオキシラン環とは異なるオキセタン環の反応性についての知見が深まり,その特性を生かした応用に向けての研究・開発が行われてきている。本稿では,オキセタン樹脂の反応性という観点から,西久保らによるオキセタン化合物の素反応に関する研究,および,著者らが行ってきた光カチオン開環重合への応用に関する研究結果を概観し,オキセタン樹脂の熱硬化および光硬化によるネットワークポリマーへの応用の可能性について紹介する。