抄録
木質バイオマスをアセトン/水系媒体を用いて高温高圧処理することにより,木質バイオマスからリグニンとセルロースを高収率で分離回収できることが確認された。得られたセルロースは天然由来の結晶構造を保持し,リグニンは良好な熱溶融性と熱硬化特性を持つことが示された。リグニンを用いて作製したメラミン化粧板は,フェノール樹脂を用いた場合と同等の曲げ強度と弾性率を有し,耐煮沸性ではJIS K6903:2008 を満たすことが明らかにされた。これらの結果から,リグニンが熱硬化性樹脂材料へ応用できることが確認された。