抄録
熱硬化性のフェノール樹脂は,架橋反応を継続することで不溶不融性の硬化物になる。硬化物の代表的な特性に1)電気絶縁性と2)耐熱性とがある。耐熱性を見ると,加熱を続けても溶融することなく炭化に至る。このことが,耐熱性を要求する用途に利用される由縁である。これらの特長を活かした用途への応用に加えて,フェノール樹脂には新しい機能性の発現とその利用が求められている。他の高分子材料を見ると,ここ20 数年近く,工程を簡素化した球状の微粒子の合成方法が開発され,新素材として使用されている。熱硬化性のフェノール樹脂においても,効率的な球状微粒子の生産方法が数多く提案されている。また,得られた球状微粒子や,さらに炭化した炭素化微粒子は,その特性を活かした多くの用途に使用され始めている。ここ数年,合成方法や用途に関する特許出願は多数散見される。しかし,参考文献は多く見当たらないのが実情である。著者らも20 数年来,研究を重ねてきたことで多種多様なフェノール樹脂微粒子の合成方法を確立し,その製造と用途展開を行っている。本稿では,フェノール樹脂微粒子の製造方法や応用・用途に関する特許や研究結果を概観するとともに,フェノール樹脂微粒子の利用や炭化物用の先端材料素材としての新展開の可能性について紹介する。同時に弊社の開発したフェノール樹脂微粒子の一端についても触れて報告したい。 熱硬化性のフェノール樹脂は,架橋反応を継続することで不溶不融性の硬化物になる。硬化物の代表的な特性に1)電気絶縁性と2)耐熱性とがある。耐熱性を見ると,加熱を続けても溶融することなく炭化に至る。このことが,耐熱性を要求する用途に利用される由縁である。これらの特長を活かした用途への応用に加えて,フェノール樹脂には新しい機能性の発現とその利用が求められている。他の高分子材料を見ると,ここ20 数年近く,工程を簡素化した球状の微粒子の合成方法が開発され,新素材として使用されている。熱硬化性のフェノール樹脂においても,効率的な球状微粒子の生産方法が数多く提案されている。また,得られた球状微粒子や,さらに炭化した炭素化微粒子は,その特性を活かした多くの用途に使用され始めている。ここ数年,合成方法や用途に関する特許出願は多数散見される。しかし,参考文献は多く見当たらないのが実情である。著者らも20 数年来,研究を重ねてきたことで多種多様なフェノール樹脂微粒子の合成方法を確立し,その製造と用途展開を行っている。本稿では,フェノール樹脂微粒子の製造方法や応用・用途に関する特許や研究結果を概観するとともに,フェノール樹脂微粒子の利用や炭化物用の先端材料素材としての新展開の可能性について紹介する。同時に弊社の開発したフェノール樹脂微粒子の一端についても触れて報告したい。