抄録
骨格にアラルキル構造を導入したシアネート樹脂3 種を新たに合成し,硬化物の物性評価を行った。アラルキル骨格としては,フェノールフェニルアラルキル,フェノールビフェニルアラルキル,ナフトールフェニルアラルキルを評価した。結果,アラルキル骨格の導入により難燃性が高まり,硬化物が自己消火性を示すことが分かった。燃焼試験片は発泡が観察され,発泡断熱効果による自己消火性が発現したものと考えられる。ガラス転移温度は,アラルキル骨格中に剛直なビフェニル基,ナフチル基を導入することでフェニル基のみのアラルキル骨格と比較して高くなることが分かった。また,アラルキル骨格を有するシアネート樹脂はビスフェノールA 型シアネート,フェノールノボラック型シアネートと比べて低誘電正接,低吸水率を示した。