抄録
動的共有結合化学に基づくネットワーク構造を有するゲルは,外部刺激に応答して魅力的な機能を示すことが知られている。本稿では,動的共有結合化学の中でも特殊な,室温・空気中という穏和な環境下において可逆的な解離・結合の平衡状態にある炭素-炭素共有結合に着目し,この結合を高分子ネットワーク中に組み込んだゲルが示すいくつかの興味深い特性に関して紹介する。この動的共有結合ポリマーゲルは,室温や体温付近の穏和な温度でネットワークの構造再編成を自発的に行い,さらにこの性質と可逆的な炭素-炭素結合の小さな解離エネルギーに起因した自己修復性を示す。また,解離により生成するラジカルが空気中でも比較的安定であり,青色を示すことから,ゲル中の高分子鎖に印加された応力,特に溶媒の凝固により高分子鎖に生じる応力の繰り返し可視化も可能である。