抄録
フタル酸ジメチルは不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤の希釈剤として多く使用されている。本研究ではイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂の腐食に及ぼすフタル酸ジメチルの影響について検討した。試験片としてはフタル酸ジメチルの添加量を変化させた4種類のものを使用し, これらを温度80℃の濃度30wt%硝酸水溶液に浸せきした。試験片の曲げ強さおよび弾性率はフタル酸ジメチルの添加量が多くなるにつれて低下した。
これら試験片の腐食挙動および機構は膨潤による物理的劣化, ピットの形成さらに加水分解による腐食の三つの劣化域を伴い変化した。これらの試験片の腐食深さは時間の平方根に対して初期は直線的に増加し, 試験片表面に膨れが形成されると腐食深さは急増した。ピットおよび膨れの発生は, フタル酸ジメチルと硝酸の反応に起因する。フタル酸ジメチルの添加量が多くなるにつれてイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂の腐食は早く進行した。硬化剤の希釈剤であるフタル酸ジメチルは樹脂の腐食挙動に強く影響することを明らかにした。