抄録
マレイミド-アミン反応及びアルコキシシランの加水分解, 縮合反応の反応機構について分子軌道法により調べた。これらの反応は, 求核付加とプロトン移動を伴うネットワークポリマー形成反応の典型例である。マレイミドとジメチルアミンのモデル反応系において, マイケル付加とプロトンリレーを検討した結果, アミン3量体が関与するモデルが適していることがわかった。また, マレイミド類のLUMOエネルギー準位が実験による反応速度の値と相関があることも示された。中性条件におけるアルコキシシランの加水分解機構を調べた結果, 水分子3量体が, 結合交替における反応体となることがわかった。縮合反応は水分子2量体が関与して起こる。加水分解と縮合反応は, 前面からのSi中心への求核攻撃が特徴的であり, 反応機構は同質である。