ネットワークポリマー
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エポキシ樹脂のリサイクル性に及ぼす樹脂および硬化剤の化学構造の影響
仙北谷 英貴山本 秀朗党 偉栄久保内 昌敏津田 健
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2002 年 23 巻 4 号 p. 178-187

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抄録

ケミカルリサイクルを行う目的で3種類のエポキシ樹脂を80℃の4mol/1およひ6mol/1の硝酸水溶液により分解した.DDM (diaminodiphenylmethane) 硬化ビスフェノールF型エポキシ樹脂では, 樹脂は4molAで約400時間, 6mol/1で80時間の分解時間を要した.DDS (diaminodiphenylsulfone) 硬化TGDDM (tetraglycidyldiaminodiphenylmethane) 型エポキシ樹脂は, 4mol/1では約50時間, 6mol/1では約15時間で分解した.硝酸水溶液から酢酸エチルによって抽出された化合物の分析の結果, C-N結合の開裂とニトロ化が起こっていることが明らかになった.また, 一般的に耐酸性の高い酸無水物硬化エポキシ樹脂について, 樹脂主剤の化学構造の中にC-N結合をもつ無水メチルハイミック酸硬化TGDDM型エポキシ樹脂を硝酸水溶液で分解させた.4molA硝酸水溶液では約80時間, 6mol/1では約250時間で分解し, 本手法が酸無水物硬化エポキシ樹脂にも応用可能であることが明らかになった.分解生成物の分析結果から, 回収された分解生成物を再重合する目的であればビスフェノールF型エポキシ樹脂の4mol/1硝酸水溶液による分解が優れ, 単純に廃棄物処理するだけであればDDS硬化TGDDM型エポキシ樹脂を6mol/1硝酸水溶液で分解させる方法が最も適していることが明らかになった.

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