ネットワークポリマー
Online ISSN : 2186-537X
Print ISSN : 1342-0577
ISSN-L : 1342-0577
粉砕樹脂充てんエポキシ樹脂リサイクル材のアルカリ環境における腐食挙動
仙北谷 英貴白石 文洋久保内 昌敏津田 健
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 24 巻 1 号 p. 13-21

詳細
抄録
耐アルカリ性の低い酸無水物硬化エポキシ樹脂と, 耐アルカリ性の高いアミン硬化エポキシ樹脂を粉砕し, それぞれの樹脂に充てんして水酸化カリウム水溶液中での腐食試験を行った。酸無水物硬化エポキシ樹脂の粉砕粒子を充てんした酸無水物硬化エポキシ樹脂の腐食は, 表面近傍の粒子界面に環境液が浸入して溶解を促進した。これが原因となって強度が低下したが, 材料内部への環境液の浸入は見られなかった。アミン硬化エポキシ樹脂の粉砕粒子を充てんした酸無水物硬化エポキシ樹脂では, 環境液が粒子/マトリックス界面を経由して材料内部にまで浸入し, 表面近傍の粒子は脱落するとともに内部のマトリックスは次第に溶解した。これらが原因となって強度は著しく低下した。アミン硬化エポキシ樹脂の粉砕粒子を充てんしたアミン硬化エポキシ樹脂の腐食は, 環境液の表面近傍への浸入と可逆的な強度低下を示した。酸無水物硬化エポキシ樹脂の粉砕粒子を充てんしたアミン硬化エポキシ樹脂の腐食では, 表面に露出した粒子の溶出が起こるとともに, 界面を経由して環境液が材料内部に浸入した。浸せき時間の増加とともに材料内部の粒子も溶解し, 不可逆的な強度低下を示した。粉砕によるリサイクル材料の耐アルカリ性は概して低く, 腐食に対する注意が必要である。
著者関連情報
© 合成樹脂工業協会
前の記事 次の記事
feedback
Top