抄録
フェノール樹脂成形材料の流動性を向上させ, コンポジットの諸物性を向上させるために, 球状で, かつ, フェノール樹脂との界面相互作用が期待される石炭灰, ナトリウム型人工ゼオライト, およびカルシウム型人工ゼオライトをフィラーとして用いた。その結果, フィラーとして石炭灰あるいは人工ゼオライト類を用いることにより, ガラス繊維木粉, 炭酸カルシウム, タルクなどの汎用フィラーを用いた場合と比較して, 成形材料の流動性が向上することがわかった。また, カルシウム型ゼオライトを充填したコンポジットは耐熱性および電気絶縁性が最も優れており, 線膨張係数の値が小さく, その異方性がほとんどなく, ガラス繊維を充填したコンポジットに次いで曲げ強度が優れていることがわかった。これは, マトリックスであるフェノール樹脂中にカルシウム型ゼオライトの多くが細かく緻密に分散し, かつ, 粒子の内部にフェノール樹脂が含浸していたことから, フェノール樹脂とカルシウム型ゼオライトとの界面の物理的, 化学的な相互作用により界面接着強度が向上したことに起因すると考えられた。