ネットワークポリマー
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不飽和ポリエステル樹脂の特性と信頼性評価に及ぼす硬化剤分布の影響
機械的特性
酒井 哲也久保内 昌敏新井 和吉大野 茂津田 健
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2006 年 27 巻 3 号 p. 126-134

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抄録

攪拌条件の制御が可能な試験片装置を使用し, 硬化剤混合度が異なる不飽和ポリエステル樹脂を作製した。機械的特性における硬化剤濃度分布の影響と二次硬化の効果について検討した。これらの試験片について二次硬化を行い, 曲げ強さを測定し, 平均値, 標準偏差および分布の形状によって信頼性工学的見地から評価を行った。最も攪拌効率の良い手混ぜで作製した試験片の強度分布は正規分布に従い, 標準偏差も小さい値を示した。これに対して攪拌装置によって作製した試験片は正規分布にならず, ばらつきが大きくなった。二次硬化時間を変化させたハンドミキシング材についてDSC分析を行い, 二次硬化時間を決めた。攪拌装置によって作製した全ての試験片について二次硬化を行ったところ強度および弾性率の増加が見られ, 成形条件による機械的性質の違いは無くなった。しかしながら, 二次硬化による硬化収縮が起こり, 樹脂内部の微小欠陥に対しての残留応力が増加したため, 一次硬化材に比べて曲げ強さの標準偏差はとても大きくなった。不飽和ポリエステル樹脂成形品は二次硬化を行うことで, 機械的特性は向上するが, 残留応力の増加によってばらつきは大きくなるため, 注意すべきである。

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