山梨県立富士北稜高校
2013 年 62 巻 8 号 p. 51-61
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語りの向こう側を拓こうとする第三項理論により、語り手である先生も「私」も語り得ぬ領域を見据え、矛盾や違和を喚起する言葉によってもう一つの文脈を創り、語ろうと挑んでいることが読める。そこから先生に自殺を決意させたのは「私」であり、自分と類似した体験を受け渡すことで「私」という他者のなかに食い込み、罪を背負った倫理の在り方を〈自由と独立の己れ〉の〈淋しい〉時代に問おうとする先生の認識の深さが見えてくる。