日本文学
Online ISSN : 2424-1202
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特集・〈第三項〉と〈語り〉――ポスト・ポストモダンと文学教育の課題Ⅱ
宮沢賢治「オツベルと象」と〈第三項〉
横山 信幸
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2013 年 62 巻 8 号 p. 62-72

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抄録

私たちは、自分の使うことばの世界から出ることはできない。それゆえ、ことばの外にあるものを捉えることはできない。しかし、真の意味はことばの外から来る。私たちが真の世界へと近づくためには、自分の内部に築いたことば(=偶像)を否定し続けることが必要である。このような田中実氏の読みの理論は、唯一の神への接近を説いた「モーゼの掟」と似ている。「オツベルと白象」は、異世界のことばと接するときに生じた悲劇を描いたものである。

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© 2013 日本文学協会
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