日本語教育
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調査報告
日本語教育における「カタカナ教育」の扱われ方
中山 恵利子陣内 正敬桐生 りか三宅 直子
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2008 年 138 巻 p. 83-91

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抄録

 日本語教育におけるカタカナ教育(カタカナ文字とカタカナ語の両方を含めた教育)の実態を教育現場の調査から明らかにした上で,その実態から窺える問題点を指摘した。調査の結果からは,多くの機関で,カタカナ文字もカタカナ語もひらがな文字やひらがな語,漢字や漢語とは異なり,あまり時間をかけることなく使用教材に出現したときに教える程度であることがわかった。それが学習者のカタカナ苦手意識や,カタカナ教育への要望につながる要因の一つになっていると考えられる。この実態の背景にあるのは,日本語教師にカタカナ語が日本語であるという認識が薄いこと,日本語教育で扱われるカタカナ語が実際に比べ少ないこと,教師用参考書等でも他の文字種やそれらの文字種で表記される語彙と同等の扱いをされていないこと,などである。従来のカタカナ教育を現代日本語の実態にあうものにするためにも,教師の意識改革および教材や教授法の開発が急がれよう。

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© 2008 公益社団法人 日本語教育学会
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