日本語教育
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実践報告
異文化理解能力の育成を目指したプロジェクトワークの実践
―初中級レベルの多国籍日本語教師を対象とした段階的アプローチの試み―
池田 香菜子長坂 水晶
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2021 年 178 巻 p. 215-229

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抄録

 本稿では,非母語話者日本語教師を対象にした訪日研修における異文化理解能力育成を目指したプロジェクトワークの実践を報告する。まず,深層文化と異文化理解能力,及び教師の役割に言及した上で,プロジェクトワークに関するこれまでの実践報告を概観する。対象者の言語レベルや先行実践で得られた課題を踏まえ,①協働活動の生まれやすい環境づくり,②文化の観察眼を養う議論の場,③言語的な手当ての3点に重点を置いた段階的アプローチのもと,本実践におけるプロジェクトワークの手順と経過を報告する。アンケート,異文化理解能力に関する自己評価,発表成果物の分析結果から,研修参加者は,授業及びそれに伴う自己の変化を高く評価していることがわかり,発表からは,異文化理解に対する気づきが多く観察された。以上のことから,本実践における段階的アプローチによる活動デザインが有効に機能していたことが示された。

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© 2021 公益社団法人 日本語教育学会
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