抄録
辞書史的観点を中心とする、節用集研究の現況と今後の可能性・注目点・注意点などを記した。まず、従来の研究の到達点の大要を示した。ついで、研究の基礎となる資料上の諸問題について、「節用集諸本の現況と問題点」「資料新出の可能性」「版種研究」「編集をめぐる諸相の解明」の四題について詳述した。さらに、時代ごとの社会的位置づけのための手法について、「諸本の性格論・本質論」「付録研究の進展」「利用様態研究の可能性」の三題のもと、やや詳述した。以上により、辞書史的観点からの研究を深化させるためには、様々な側面・部分について隣接分野の研究成果を積極的に参照・摂取する必要のあることが知られた。