日本語の研究
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〈付帯状況〉を表す節における統語的制約の変化
──動詞テ節・ツツ節・ズ節を対象として──
菊池 そのみ
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2023 年 19 巻 2 号 p. 147-163

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抄録

本稿は〈付帯状況〉を表す節における統語的制約の変化を動詞テ節、ツツ節、ズ節を対象とした用例調査に基づいて明らかにしようとするものである。古代語(上代語・中古語)においては〈付帯状況〉を表す用例として[対象主語─非対格自動詞]という構造の節と[目的語─他動詞]という構造の節とのいずれも見られるのに対し、現代語においては後者のみが自然な表現であるという点で変化が生じていると言える。これを踏まえ、本稿では用例調査に基づいて節内に対象主語を含む非対格自動詞テ節の用例は中世前期まで、同じくツツ節、ズ節の用例は中古まで見られることを明らかにした。また、この現象について従属節分類における位置づけを検討した上で、当該の統語的制約の変化が日本語における活格性の喪失という変化を反映したものである可能性があることを指摘した。

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