2021 年 21 巻 2 号 p. 42-50
近年大規模災害が多発し甚大な被害が発生しており、災害食関連企業の事業継続計画(Business Continuity Plan 以下、BCPと示す)の策定状況に関連する要因を明らかにすることを目的とした。5つの業界団体に加入する災害食関連企業566社を対象に郵送調査を行った。調査期間は2018年3月5日から9月20日までとし、項目は企業の概要、自然災害の被災に対する自社の備えへの考え、BCPの策定と教育・訓練の実施状況、緊急時の食料供給に関する協力・連携体制とした。調査票の回収数(回収率)は136社(24.0%)であった。BCP策定企業の方が未策定企業に比べ、複数の食品や熱源を備蓄する傾向にあった。BCP策定に関連する要因として①自然災害の被災に対する自社の備えを課題と感じていること(p=0.035)、②事業継続のための教育・訓練の実施(p < 0.001)、③県市町村との災害時応援協定締結(p=0.043)、④国県との災害時情報交換等取り決め(p=0.001)が挙げられた。以上のことからBCP策定には、複数の食品や熱源の備蓄が行われ、事業継続のための教育・訓練が必要であることが示唆され、策定や更新を行うなど継続した働きかけが必要である。また県市町村との災害時応援協定締結や国県との情報交換取り決め等がBCP策定に関連する要因であることから、日頃から顔の見える関係性の構築が必要と考える。