抄録
アゾビスイソブチロニトリルを連鎖開始剤として用い,70℃でα-メチルスチレン(M)とクメン(RH)の液相共酸化を行ない,共重合の理論をもとに検討した。モノマー反応性比をMayo-Lewis法により求めると,rM=9.3,rR=0.10という値を得,この値はFineman-Ross法によって求めた値とよく一致した。二つのモノマー反応性比の積がほぼ1に等しいという事実から,炭化水素のペルオキシラジカルに対する反応性がペルオキシラジカルの種類には依存しないと考えられる。共酸化速度をα-メチルスチレンの濃度に対してプロットすると直線関係が得られた。2成分の共酸化において,酸化速度が一方の被酸化物濃度と直線関係が成立する場合について考察した。α-メチルスチレンとクメンの場合に直線関係が得られるのは,両者の連鎖停止反応速度定数が等しく,かつrM・rR≒1であり,さらにΦ=ktMR/(ktMM・ktRR)1/2が1に等しいことによると考えられる。