抄録
MH2AX4なる組成式を有し,正方晶系に屬し,その結晶構造がH22型なるイオン性結晶KH2PO4, KH2AsO4, NH4H2PO4及びNH4H2AsO4に於いてその構成子たるM+, (H2AX4)-に對して夫々等方性双極子並びに異方性双極子を對應せしめ, Ewaldの結晶複屈折の計算法に基き,屈折率ω,εの値並びにM+イオンの偏極率の即知の値を用ひて(H2AX4)-の偏極率の値を求めた.次にこの結晶の複屈折の差が主として上記(H2AX4)-イオンの偏極率の異方性に基くものなる事を明にし,尚この偏極率の異方性が之等結晶に於いて水素結合に依つて結ばれた對の酸素間の光學的な相互作用に起因する事を述べ,更にこの點に關して別にBraggに依つて始められた複屈折の計算法に従つて考察を加へ,上述の所論と良く一致する結果を得た.