日本化学会誌(化学と工業化学)
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強酸性電解生成水溶液中のヒドロキシルラジカルの電子スピン共鳴法による解析
米森 重明滝本 康幸閔 庚薫実桐 幸男下平 哲司三宅 晴久
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1997 年 1997 巻 7 号 p. 497-501

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抄録

電解助剤を添加した水の電気分解によつて得られる強酸性電解生成水溶液中の活性酸素種であるヒドロキシルラジカルの解析を,ESRを用いて行つた.2種のスピソトラップ剤[5,5-ジメチル-1-ビロリン1-オキシド(DMPO)およびN-[(1-オキシド-4-ピリジニオ)メチレン]-t-ブチルアミンN-オキシド]のヒドロキシルラジカル付加体をそれぞれ観測することができ,強酸性電解生成水溶液からヒドロキシルラジカルが生成することを確認した.電解後冷暗所に10日程度保存しても生成するヒドロキシルラジカル量は変化せず,安定していた.また,塩化ナトリウムに代わって硫酸ナトリウムを電解助剤として使用した場合にもヒドロキシルラジカルが生成し,スピン付加物DMPO-OHの量が測定時間とともに増加することがわかった.強酸性電解生成水溶液中にはヒドロキシルラジカルが存在するのではなく,その前駆体が存在しており,それはペルオキソニ硫酸イオンであると推定される,電解助剤に塩化ナトリウムを用いた通常の強酸性電解生成水溶液においても,電流密度および使用水中の硫酸イオン濃度を調整することにより,生成するヒドロキシルラジカル量を捌御できることが示唆された.

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