抄録
目的:大腸腺腫発生のリスク要因を生活習慣の時代的変遷の視点から比較検討する.
方法:1992年4月から2007年3月までに大腸肛門病センター高野病院健診センターで内視鏡検査の初回受診者16,647名(男性7,757例,女性8,890例)を対象とし,大腸腺腫発生のリスク要因を年代別に前期(1992.4~1998.3)と後期(1998.4~2007.3)に区分し,加齢,生活習慣関連因子としてbody mass index(BMI),BMI別分類(非肥満群;BMI<18.5:低体重,18.5≦BMI<25:普通体重,肥満群;25≦BMI<30,30≦BMI<35,35≦BMI),総コレステロール(Tcho),HDL-コレステロール(HDL),中性脂肪(TG),LDL-コレステロール(LDL),空腹時血糖値(FBS)について比較検討した.統計解析のすべては多変量解析ロジスティック回帰分析を用いオッズ比(OR)を算出した.
結果:大腸腺腫発生のリスクは,男性前期では加齢によるORは1.031倍,TG増加は1.001倍,FBSの上昇では1.005倍と有意に高くなった.後期では加齢により1.028倍,BMI別には普通体重を1とした場合25≦BMI<30は1.28倍,35≦BMIでは2.05倍,TGの増加は1.001倍と有意にリスクは高くなり,HDLの増加は0.994倍とリスクを有意に低下させた.一方,女性では前期のリスクは認められないが,後期のみ加齢に伴い1.029倍,TGの増加は1.002倍と有意なリスクとなった.
結論:大腸腺腫を発生させるリスクは年次推移とともに変容し,ことに後期では,肥満に関わる要因は大腸腺腫を発生させるリスク要因となり,体重管理が大腸癌の一次予防につながると考えられる.