人間ドック (Ningen Dock)
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原著
日立健康管理センタにおける頚動脈エコー検査の試み
佐藤 竜太根本 直樹大澤 健渡邊 希松本 久美子助川 和也佐藤 和彦草野 涼中川 徹色川 正貴
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2009 年 24 巻 1 号 p. 123-128

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抄録

目的・方法:頚動脈エコー検査は動脈硬化の診断,特にスクリーニング検査として有用である.満45歳の男性ドック受診者を対象に,頚動脈の内膜中膜複合体厚(IMT)と生活習慣や動脈硬化症危険因子との関連性について検討した.両側総頚動脈のIMTをIMT自動計測ソフト(日立メディコ社製)を用い計測し,自動計測範囲内の最も厚い部分をIMT-Cmax,平均値をmean-IMTとし,観察可能範囲で最も厚い部分をmax-IMTとして記録した.
結果:内臓脂肪面積,BMI,耐糖能異常,LDL-C,LDL/HDL比,Metsスコア(内臓脂肪面積が100cm2以上又は腹囲が85cm以上で5点,脂質・血糖・血圧に異常値が有る場合それぞれ+1点)が異常値であると両側のIMTが有意に肥厚する傾向にあった.喫煙による差異は認められないが,喫煙指数600以上の重喫煙群は両側のmean-IMTが有意に肥厚する傾向にあった.高血圧,高中性脂肪,低HDL-Cでは左のIMTが有意に肥厚する傾向にあった.また有意差は認められないが飲酒有り群のほうがIMTが薄くなるという傾向にあった.
結論:以上の結果のように45歳におけるIMTの肥厚にかかわる因子が示された.今後5年,10年の追跡調査によりIMTがどのように変化し,IMTを肥厚させる因子が明らかになるか経過観察を行っていきたい.

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© 2009 公益社団法人 日本人間ドック学会
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