人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
LDLコレステロールが低値の急性心筋梗塞症例が有する脂質の特徴:一般住民健診受診者を対照群とした検討
佐久間 一郎岸本 憲明浅島 弘志河合 裕子小林 毅筒井 裕之
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 24 巻 1 号 p. 129-136

詳細
抄録

目的:わが国の急性心筋梗塞(AMI)患者ではLDLコレステロール(-C)の低い症例が多い.本研究ではLDL-C低値のAMI患者の脂質プロファイルを対照群のそれと比較し,特にLDL-C/HDL-C比のAMI発症への関与を検討した.
方法:北海道内のAMI患者955症例と,性別・年齢・地域をマッチングさせて抽出した一般住民健診受診者(健常群)1,892例を対象とした.LDL-Cが日本動脈硬化学会の一次予防目標値(高リスク群)である120 mg/dl未満の75歳以下のAMI患者および健常群で,男女別に各種脂質指標を比較した.次いで,各種危険因子の情報が揃っているAMI患者と健常群で,ロジスティック回帰分析により,AMI発症の有意な危険因子となる脂質指標を男女別に検出した.
結果:75歳以下の男性AMI 患者571例中313例(54.8%),健常群1,329例中484例(36.4%),75歳以下の女性ではAMI 患者147例中66例(44.9%),健常群228例中70例(30.7%)でLDL-Cが120 mg/dl未満であった.LDL-Cが120 mg/dl未満のAMI症例では男女ともに健常群と比較し,HDL-Cは有意に低く,LDL-C/HDL-Cは有意に高かった.男女ともに,各種脂質指標の中では低HDL-C ,次いで,高LDL-C/HDL-C(>2もしくは2.5)が高オッズ比となり,有意な危険因子となった.
結論:各種健診でLDL-Cが120mg/dl未満であっても,HDL-CとLDL-C/HDL-Cへの留意がAMI発症予防に重要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top