2009 年 24 巻 1 号 p. 61-68
目的:自律神経機能障害は,メタボリックシンドロームの重要なメカニズムの一つと考えられているので,日本人における心拍数とメタボリックシンドロームとの関係を明らかにする.
方法:男性2079人,女性1215人の人間ドック受診者を対象として,心拍数とメタボリックシンドロームに関連した危険因子,メタボリックシンドローム診断基準検討委員会が決めた診断基準によるメタボリックシンドローム(JMS),日本人のための改定NCEP診断基準によって診断したメタボリックシンドローム(MS),および糖尿病との関係について解析した.
結果:男女とも,心拍数は非MS群に比べ,MS群で有意に高かった(男性p<0.0001,女性p<0.001).心拍数の4分位数で分類した心拍数最大群は,最小群と比較して,男女とも,MSとJMSの頻度が有意に高く(男性MS,男性JMSともp<0.0001,女性MS p<0.001,女性JMS p<0.01),男性では糖尿病の頻度も有意に高かったが(p<0.001),女性では差がなかった.心拍数は,男女とも,体脂肪率,血圧,空腹時血糖,中性脂肪,高感度CRP,白血球数,gamma glutamyltransferase,alanine aminotransferase,推定糸球体濾過量と有意に相関した.男性ではBMI,腹囲,HDLコレステロール,ヘモグロビンA1c ,%肺活量とも有意に相関し,女性では尿酸とも有意に相関した.
結論:心拍数はメタボリックシンドローム関連危険因子と有意に関係し,心拍数の4分位数で分類した心拍数最大群は,最小群と比較して,男女とも,MSとJMSの頻度が有意に高く,男性では糖尿病の頻度も有意に高かった.