人間ドック (Ningen Dock)
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原著
投薬を受けている健診受診者の特定健診成績
吉田 信彦星野 和彦川上 睦美中村 久美子大橋 純江
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2010 年 25 巻 3 号 p. 494-499

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抄録
目的:厚生労働省はメタボリックシンドローム(MS)診断基準検討委員会の基準を一部修飾した特定健診を導入した.必須条件の肥満に加え陽性所見が1つ以上ある健診受診者(要支援対象者)は特定保健指導を受けるが,降圧薬,脂質異常症治療薬,糖尿病治療薬を使用している受診者(被投薬者)は,医師の指導のためこれを受けることが出来ない.そこで被投薬者の健診成績が非投薬者より良いかどうかを検討した.
方法:対象は40~64歳男性6,642名.被投薬者は投薬を受けていないと仮定して診断を行った.
結果:被投薬者の腹囲陽性やBody Mass Index陽性の割合は非投薬者より有意に多かった.降圧薬かつあるいは脂質異常症治療薬使用者の血糖陽性率や,糖尿病治療薬かつあるいは降圧薬使用者の脂質陽性率は非投薬者よりほとんどの例で有意に高かった.脂質異常症治療薬と糖尿病治療薬を使用している被投薬者の血圧陽性者の割合は非投薬者より有意に多かった.降圧薬のみ使用している被投薬者と非投薬者両者について血圧を除外して判定を行うと,要支援対象者あるいはMS判定において1つ以上の陽性所見がある被投薬者の割合は,非投薬者より有意に多かった.脂質異常症治療薬のみの使用者の場合も同様であった.
結論:特定健診受診者の内,既に高血圧などが治療されている被投薬者は,非投薬者と比較して,治療対象外の項目に関する健診成績がいずれもコントロール良好な結果を示さなかったことから,保健指導の対象とすることが望ましいと考えられる.
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© 2010 公益社団法人 日本人間ドック学会
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