抄録
目的:所属5健診施設において船員集団における前立腺がんの実態を全国規模で調査し,早期診断に結びつける試みを行った.
対象と方法:2005~2007年の3年間に全国の船員集団8,723名について延べ16,231回,PSAタンデム法によって血清中前立腺特異抗原(PSA)を測定した.PSA陽性率に関してはこのうち40歳以上の者8,453名,延べ検査総数15,907件を対象に検討した.PSA基準値は4.00ng/mL以下である.
結果:40歳以上の初回PSA検査受診者8,453名中PSA陽性者(基準値を超えた者)は191名で,陽性率は2.3%であった.今回の調査期間中に前立腺がんと診断された者が全国で合計16例確認された.がん診断時年齢は50歳代4名,60歳代9名,70歳代3名であった.がん診断時のPSA値は4.85~134.5ng/mLであった.
結論:今回の船員集団での陽性率2.3%は,我が国における40歳以上の一般的健康成人集団でのPSA陽性率を代表するデータと考える.調査期間中に全国で計16名が前立腺がんと診断された.現時点でのがん検出率は少なくとも0.19%以上と推定される.