抄録
目的:近年肺結核の罹患率の低下傾向が続いており,健康診断における胸部X線検査の有用性が疑問視されている.当院健康管理センターの健康診断で発見された肺結核症例を振り返り,結核罹患状況と健康診断における胸部X線検査の意義について考察する.
方法:2009年7月から2011年3月に当院健康管理センターの健康診断で胸部X線検査を受けた12,581例のうち,胸部X線異常影を呈し肺結核の診断に至った症例について報告する.
結果:12,581例のうち肺結核の診断となったのは4例であり,当該期間の肺結核発見率は0.03%であった.胸部X線所見は多岐にわたったが,いずれも症状が軽微な段階で早期に発見された.4例中2例に関しては健康診断で異常を指摘されてから受診するまでに遅れがみられた.
結論:自覚症状が軽微な場合は受診を控える傾向にあるため健康診断の果たす役割は大きい.結核罹患率の高い地域では健康診断の有用性は高く事業所への啓発が必要である.同時に健康診断後の速やかな治療開始のために,受診への積極的な呼びかけの必要性が再認識された.