人間ドック (Ningen Dock)
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原著
PETがん検診後の精査勧奨と追跡調査 -評価を高めるための工夫-
河合 裕子佐藤 勝彦小西 徹夫戸島 雅彦松本 桂輔杉江 広紀
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2013 年 28 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

目的:PET(Positron Emission Tomography)がん検診の評価を高めていくためには,積極的な事後管理,すなわち異常所見を示す受診者への精査の受診勧奨および追跡調査が不可欠である.このために当院で行ってきた工夫を提示する.
方法:当院におけるPETがん検診の受診者のうち,がんが疑われる受診者に精査を勧めた.他医療施設からの返信,あるいは書面による聞き取り調査により精査結果を確認した.積極的な事後管理前後での精査結果の返信回収率の変化とその効果を検討した.
結果:2006年4月から2012年3月の6年間の当院でのPETがん検診受診者2,116例のうち,308例に対し精査を勧めた.308例のうち183例で返信が得られ,さらにこのうち33例でがんを認めた.したがって,6年間の当院におけるがん検出率は,33例/2,116例=1.56%であった.返信回収率の経過をみてみると,2006年から2008年までの返信回収率は平均31.7%と十分とはいえなかった.しかし,それまでの反省を踏まえて2009年から積極的に事後管理を行った結果,返信回収率は平均73.5%と上昇し,がん検出率も0.88%から1.88%へと上昇した.返信回収率を上昇させるために,事後管理には以下のような工夫を行った.まず,受診当日,医師が結果を説明し,異常があればどの医療施設を受診するかを相談する.受診後,受診者に送付する報告書に精査を必要とする場合には,画像のCD-Rを同封する.3ヵ月後,他医療施設からの返信がない場合には,受診者に2回,問い合わせの書面を郵送する.
結論:PETがん検診の質の向上には,実績を集計することが重要である.このためには,単に異常を報告するだけではなく,より積極的な事後管理を行う必要がある.

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© 2013 公益社団法人 日本人間ドック学会
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