抄録
目的:人間ドックで軽度白血球増加より慢性骨髄性白血病と診断された症例を経験した.健診で軽度の白血球増加は散見されるが,2011年度の人間ドックにおける白血球増加症例について検討した.
方法:当院白血球増加症例:2011年1月から12月にかけて当院人間ドックを受診した2,182例中13例で白血球が10,000/μL以上に増加していた.13例の白血球上昇の推定要因について検討した.
症例提示:54歳女性.健診直前に咽頭痛,発熱があったが,近医で扁桃炎の診断で抗生剤を処方され,改善した.健診時白血球軽度上昇(13,000/μL)と軽度肝障害を認めた.再検にて末梢血に幼若白血球を認めたが,感染の影響も考え経過を追った.幼若白血球は変化せず,好塩基球も増加したため,血液疾患を疑い,精査により慢性骨髄性白血病と診断された.
結果:白血球増加推定要因は喫煙が6例,一過性の感染が4例,原因不明が1例,今回提示例を含めて白血病が2例(全体の0.1%)であった.
結語:白血球増加が軽度でも,重篤な疾患を見落とさないよう,健診後のフォローアップと二次検査が必要な症例に対しての精査が重要である.