抄録
目的:当施設では,がん検診を中心に精査受診率の向上に取り組んでいる.2010年度以降,効果的な受診勧奨方法を検討し,業務改善を行った.その受診勧奨方法の有効性について検討する.
方法:がん検診における要精査判定者へは紹介状の発行を必須とした.保健師との面談で受診勧奨を行うとともに,医療機関の情報を適切に提供するために「紹介先医療機関リスト」やタブレット端末などのツールも整備した.また受診状況や精査結果が不明な場合は,健診受診から6ヵ月後に追跡調査を実施した.
結果:2010年度以降の精査受診率を比較した.2010年度,2011年度はすべての項目で精査受診率が上昇している.2009年度と2012年度の比較では,胃X線が+30.9%と最も多く,便潜血+27.6%,胸部X線+24.2%,子宮細胞診+16.0%,乳がん+14.7%,胃内視鏡+10.8%の順となった.
結論:ドック当日に医師・保健師から受診勧奨を行い,医療機関の情報を提供することが受診行動への動機付けとなる可能性が示唆された.また,紹介状の発行や追跡調査は,受診状況の把握率を上昇させ,精査受診率の向上に有効であった.保健師面談の質の向上と,追跡調査での受診者のアンケート返信率の向上が今後の課題である.