抄録
目的:当センターにおけるがん検診の事後管理は,要精検者に結果票とともに精密検査依頼書(以下,紹介状)を添付郵送し,その後未受診者には検診受診2ヵ月・5ヵ月後に受診勧奨文書を再送する運用である.定期的な受診勧奨にもかかわらず,胃X線検査における精検受診率は,他のがん検診に比べて低いのが現状である.そこで,胃X線検査の要精検者に対し,個々の結果に応じたメッセージ性の強い受診勧奨パンフレットを作成し,精検受診率向上に向けた取り組みを行ったので,その有効性を検討した.
方法:要精検者300名をA群:医師の結果説明あり,B群:結果説明なしで受診勧奨パンフレットを紹介状と同封,C群:結果説明なしで紹介状のみを送付の3群に分類し,各群における精検受診率,精検受診までの期間を比較検討した.
結果:精検受診率はA群68%,B群65%,C群55%であった.受診勧奨パンフレットによって,医師結果説明とほぼ同等の受診勧奨効果を認めた.A群,B群,C群ともに検診後2ヵ月以内に7割以上が受診していた.
結語:受診勧奨パンフレットは,精検受診率の向上に寄与する有効なツールと考えられた.また,早期受診勧奨が精検受診率向上の一要因と考えられ,医師結果説明を徹底し,受診勧奨パンフレットを用いた早期の受診勧奨を行うことで,さらなる精検受診率向上が期待される.