抄録
目的:人間ドックで上部消化管内視鏡を施行した際,偶然に胃内にアニサキスが発見されることがあるため,その特徴について検討を行った.
対象:2013年4月から2016年3月までの間に,当院の人間ドックで施行した上部消化管内視鏡検査で胃アニサキス症を認めた14例.
方法:年齢,性別,自覚症状,内視鏡所見等についてretrospectiveに比較検討した.
結果:男女比は3:4で年齢の中央値は44歳であった.時期は11月から2月に8例が集中しており,冬期に好発する傾向であった.何らかの自覚症状を認めた者は6例で,その全例に検査前2~3日以内にサバ,イカなどの魚介類の摂取歴があった.血液検査で好酸球分画の上昇を認めたのは4例であった.内視鏡所見では,虫体の穿入部位は多岐にわたっていたが,小彎側より大彎側に多く,噴門部への穿入例も2例認めた.粘膜状態については,虫体の穿入部周囲粘膜の浮腫のみを認めるものが3例4病変,浮腫に加えて周辺粘膜の発赤を伴うものが7例,発赤,浮腫とともにびらんを認めるものが1例,さらに粘膜下腫瘍様の隆起を伴うものが3例であった.また,ヘリコバクターピロリの感染例は2例であった.
結論:胃アニサキス症でも無症状の症例があることを認識し,健診時の問診や内視鏡検査に臨む必要がある.