人間ドック (Ningen Dock)
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原 著
日本人における必須・準必須アミノ酸濃度の低値者の臨床的特徴
今泉 明長尾 健児神通 寛子田中 孝幸影山 陽子山本 浩史戸田 晶子谷 瑞希石坂 裕子山門 實
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2017 年 31 巻 5 号 p. 709-717

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抄録
目的:食事中タンパク摂取量の不足は,体内における必須アミノ酸の供給不足をもたらし,健康リスク因子になると考えられる.そこで,本研究では,日本人を対象に血漿中必須・準必須アミノ酸濃度が低値である集団の臨床的特徴を明確化することを目的として検討を行った.
方法:日本人の人間ドック健診受診者10,102人より朝食前空腹時に採血を行い,血漿中の必須・準必須アミノ酸濃度を定量した.アミノ酸濃度を正規化し,必須・準必須アミノ酸の10種のうち,少なくとも1種類が平均-2×標準偏差よりも低い対象者を必須・準必須アミノ酸低値者と定義し,臨床検査指標の基準範囲逸脱者の割合に及ぼす影響を解析した.
結果:全受診者の約17%が必須・準必須アミノ酸低値者であった.必須・準必須アミノ酸低値者においては,タンパク栄養不良と関連がある検査指標の基準範囲逸脱者の割合が非低値者に比較して統計的に有意に高いことに加え,貧血,循環器系疾患,感染症,炎症,免疫機能異常,副甲状腺機能・交感神経活性の亢進などと関連があると考えられる検査指標の,基準範囲逸脱者の比率も統計的に有意に高かった.
結論:本研究で得られた知見から,血漿中必須・準必須アミノ酸プロファイリングは,QOL低下をもたらす健康リスクの早期発見バイオマーカーとしての有用性を示唆するものであると考えられる.
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© 2017 公益社団法人 日本人間ドック学会
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