抄録
重篤な合併症を来すことなく,健診の上部消化管X線造影検査を契機に発見され治療し得た巨大左房粘液腫を経験したので報告する.
症例は50歳代の女性で,4年前より易疲労感や倦怠感,前胸部違和感を,2年前より食べ物がつかえる感じを自覚していたが,日常生活に支障を来すものではなく放置されていた.会社の定期健診オプションの上部消化管X線造影検査で,下部食道を強く圧排する腫瘤を認めたため精査が行われた.その結果,左房内に高度の石灰化を伴う巨大な腫瘍性病変を認めたため手術が行われた.腫瘍径は9cmと大きく,心房中隔に広基性な無茎性粘液腫であった.
健康診断の場においてまれな疾患に遭遇することは十分にあり得るため,注意深い観察眼をもって診察・検査にあたる姿勢が大切である.